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エルド吉水(以下、吉):よっちゃん久し振りー。
忙しい中対談受けてくれて本当にありがとう。
よっちゃんとは大学時代レゲエバンドやったりして学年違ったのによく遊んだよね。

佐藤好彦(以下、佐):すっごい久しぶりだよねー。 いやーっ、オレってホント同学年の奴らより、吉水の学年とよくつるんでたよね。 あの頃は作品制作っていうより、音楽に傾倒していてたね。

:そうそう、同学年では葉加瀬太郎君とかも軽音楽部にいたよね。
上野の噴水の所で不謹慎極まりなく寝ころんで泥酔している我々の前を、既に売れっ子になってた葉加瀬君が通りがかってさ。
彼を呼び止め「おー、葉加瀬、一曲弾いてよー!」ってからんだりして。
そしたら葉加瀬君、嫌な顔一つせず即興でジプシーの曲みたいなの弾いてくれたんだけど、それが滅茶苦茶上手くて(笑)。
みんな急に酔いが冷めて「いやーぁ、どうもありがとうございました!」って座り直して頭下げたの覚えてるなー。

:(笑)あったあった!そんなこと。葉加瀬太郎君のバンドはクライスラー&ザ・カンパニーって名前だったよね。
そのメンバーと一緒に藝祭の神輿つくったなー。

:よっちゃんてさ、あの頃から本当に音楽好きだったよね。
あの時代、ストレートに音楽好きって言って作品に持っていくっていうのは、結構ノーノーの時代だったよな。

:そうそう。最初は石彫ったりしてたんだよね。まずは先人がやってたことをやるみたいな課題の延長で作品を作ってた。
でもその後、音楽とかがストレートに作品に出てきたのは、吉水のおかげだよ。

えーーーーっ!!!

:なんかさ、吉水なんかと根津の下宿先でベロベロに呑みながらレゲエバンドの練習とか云ってギターを弾いてた時に、
「よっちゃん、本当はCharをいつもは弾いてんだろう?お前!Char好きなんだろ?
アートもそっちで行っちゃえばいいんだよ!」みたいなことを言ったんだよねー、…吉水が。

:あーーーーっ!! ん? 言ったかもしんない…。

:ま、その言葉を大学卒業して随分経ってからからフッと思い出して。
ギターっていいよなー、おれもそろそろパっとしたいなーって思った時、
「あれ?俺が好きだった頃のCharより今の俺は年食ってるのに、おれ何してんだ!」みたいな時があって。
やばいぜオレ!って考えてたら、ふっと吉水のあの言葉を思い出し、最終的にあのギター作品が出来たんだよ。

:恐れ多い…。知らなかったぞー!俺、説教癖あったよなー、あの頃(反省)…。

:それまではニューヨークに行ったりとか自分探ししてさ。
ギター作品を発表したのは卒業してずいぶん経った2002年だったな。
(この12本ネックギター作品「Present Arms」はキリン・アート・アワード2002で最優秀作品賞受賞)

:俺達の共通点は、“隔たり”の無いアートを目指してたことだと思う。
こうでなければいけないという“アート”という境界線を解放しようとして。
よっちゃんのキリン・アート・アワードで大賞受賞したストラトキャスターの作品を見た時、
「やりやがった!あいつ!」みたいな感じだったよ。
あぁ、解き放たれてできた作品だー、っていうかさ。

:でもさ、吉水もすごいよね。なんつーかマルチな奴だよ。今、マンガなんてさ。
吉水は今、解放されてイッちゃったって感じなの?

:いやー、長い話になるんだけれど。
俺さ、パブリックアートで頑張ってた頃、ちょっと周りの人に対して嫌な奴になっててさ。
でも実は色々なプレッシャーがあって。
社会人として頑張らなきゃいけない張り詰めてた自分が、結局何かが壊れちゃったんだよね。
その後一人暮らしを始めて、仕事も警備会社で働きだしたりしたんだよね。
なんか雨に打たれる仕事もいいなーと、180度違うことやりだして。
それから約2年間、建築現場とかで働きながら更地から建物ができるまで工事現場を見続けた。
ゲートに一日中立っている仕事とかしていると、今まで見えてなかった当り前の自然とか、ヒト、モノに気付かされたりするのよ。
最初は創作意欲とか何もなかったんだけれど、ある夏、蝉がうるさく鳴いてて。
その日はまた余りにも暇で、つい現場で絵を描き始める自分が居て(笑)。
そのうち現場で拾った流木を家に持ち帰り、半田ごて使って絵を焼き付けて描きだしたんだよね。

パブリックアートやってるとき、段々自分の手を離れて作品が出来上がっていくことに気持ちが離れていったことがあって。
図面見てモニターの中で作ってばかりいたら、なんだか自分が作ってるって感じが無くなってった時期があってさ。だから自分で一から作っているって感じがとても恋しくなってたところで、マンガを描き始めたところはある。

:すっげえ共感するところがあるなー。おれもさ、大学出てニューヨーク行っても自分に何か一つピンと来るものがなくて、やっぱり一度日本に帰った方がいいなーと戻ってきた。
そこから知り合いを通じて瓦職人のところで一時働いてさ。
一日一トンぐらい毎日瓦運んで、それがもう半端ないすごい過酷な作業で(苦笑)。
そのとき現場職人の時間の使い方、人間が昔から営んできた流れみたいなことを目の当たりにして。
オレって作品造る時の時間の使い方がダラダラしてるなー、こんな機敏な時間の使い方をしてないぞーと考えさせられたりしたよな。

よーーーーーくわかる

:そのあと建築模型を作る仕事がまわってきてさ、その時この瓦屋さんで働いていた時の感覚が蘇って。
職人たちから学んだ時間配分をしながらモノを造るってことを、このとき意識的にできたんだよね。
これって吉水と同じで仕事の現場でやっていたことが、
それまでと違う「学び」や「目線」として自分の作品になっていったってのと似てるかな。
こういうの大事だなー、って実感したよな。

:そういうのあるなー。今は人生無駄なことは何も無いって心底思える。
あともう一つ大事なのは、最近もっとアートってもっと自由でいいんだって思うようになれたことかな。
オレが浪人生のとき見たフランシス・ピカビアがすごく頭に残っててさ。
良い意味、軽快でさ。ポスターもオブジェも全部スタイルが違う彼の作品を見て、
「こんなに自由でいいんだー。」ってショック受けたんだよね。
それまでドナルド・ジャッドとかのストイックさが現代美術だ!みたいに思ってたから、
ピカビアの作品を見たとき気持ちが楽になったというか。
岡本太郎さんだってそうだったしね。

:そうだね、そういう自由さってあるよね。

:あと自分で全て作れるってことからマンガになったってところもあるんだよね。物語を考えて自分で動かして描いていくっていうのが物凄く楽しくて。
なんか等身大の制作がすごく気持ちよくってさ。
彫刻のようなずっと残るものではなく、仮設のインスタレーションみたいな部分に魅力を感じ始めたんだよね。
ギターとか一本で表現できるようなものがしたくなった延長上に、今のマンガがある。

ーーーーーー、よくわかる。おれも保管場所とかは本当に頭抱えるもん(笑)。
でも吉水のことだから、また違う方向に行ったりしそうだよなー。

:あっ、バレてる(笑)。また大きな作品とかも作りたくなってきてるけど(笑)…。
そう、マンガって結局マンガなんだよね。全て説明しなきゃいけない。
でもアートっていうのは見る人の中で広がっていくから、それはアートのすばらしさだなっていうのは再確認するよね。
あとさ、よっちゃんのストラトキャスターの作品のような精度の高さとかも、よくやるなーと感銘してしまう。
ああいう「大いなる無駄」みたいな仕事の完成度の高さ(笑)が大切だよね。
その洒落に命はってるようなところがすごいと思うわけよ。
それはマンガ、アートに関係なく俺達の表現に対する共通点だよな。

:それはさ、愛情の問題だと思うよ。俺、そういうものづくりに対する絶対的な愛情あるもん(笑)。
あとさ、俺達の共通する根源は間口は広いんだけれどその先がディープなところだよね。
見ている人が入っていける何段かの構造感が俺達の作品にはあるよね。
ん?と思わせるツボ、段階を作る。

:あるある。散りばめられている。
おれのマンガにもそういう要素があるから見てる人が色んなところで反応するもん。バイクだったり、服だったり、背景の建物とか。

:吉水はこの続きをどう展開するの?

:これからはやっぱ日本だよね!来年の春頃続編をお披露目する予定なんだけど、
中東とアジアが入り混じったフルセーヤ国から舞台を日本へ移して、日本のアンダーグランド、そのディープさ、
日本の「義」や「情」を展開させたいんだよね。
今そのための資料集め。しかしなんでもお金がかかるにゃー(苦笑)。

:なんか吉水生き生きしてきたね。よかった。

:もうこれから好きなことを一生懸命やってやる!って言い切れたら格好いいんだけれどねー。
ま、次回に期待してて。また色々楽しみえるようにしますんで(笑)。あーーーーーっ、もう酔っ払ってきた!

:俺も!まだ終電大丈夫かな?



●佐藤さん、快く対談を受けていただき感謝しております。本当にありがとうございました。
From QUALIA JUNCTION
佐藤好彦 さとう・よしひこ http://www2.tbb.t-com.ne.jp/hipopo-art/profile.html
1968年埼玉県出身。1993年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。キリン・アート・アワード2002では敬愛するロックギタリストへの挑戦状をコンセプトに制作した12本ネックギター「Present Arms」が最優秀作品賞受賞。現代人の生活に無意識に溶け込んでいる大量生産された製品を素材に、『伸ばす』『増殖する』などのアレンジによって、そこに潜む機能や形態のエネルギーを増幅させた彫刻を制作。2005年6thSICF(スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ・フェスティバル)準グランプリ受賞。

 

 

 

 

 
 
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